分解できない木

外国語を勉強する際、母国語には存在しない概念に戸惑う事はよくあります。例えば英語の冠詞(a,the)の用法に悩まされた経験がある日本人は、すごーくたくさんいるはず。ドイツ語の冠詞はもっとややこしく、性と格に応じてバリエーションあり過ぎなので、「椅子や机はモノじゃ、モノ!オスでもメスでもオカマでもないわいっ!」などと突っ込みを入れたくなる事もしばしば。でもドイツ語を勉強していて、一つだけ有難いと思うことがあります。それは表音文字のみしか使わない(しかもほとんどが英語と共通である)こと。

学校で休み時間に、ポーランドの女の子と母国語の話になりました。
 ポ「日本語は私には絵みたいに見えるわ」
 私「確かにそうかも。(「木」の絵と漢字をかいて示し)これが漢字で木を表し、kiと読むの。」
 ポ「ふうん。で、どのストロークがkで、どのストロークがiなの?」
 私「・・・・・・・・(しーん)」

いやぁ、マジに絶句しちゃいました。「そ、そうか、表音文字文化の人はそう見るのね!」みたいな。これがハングル文字だったらかなり的を射た疑問だったでしょうが、漢字は音では分けられない。それどころか、同じ「木」という漢字でも、単語によって「き」「こ」「もく」「ぼく」と読み方が変わる・・・うわ~、なんか大変。

もしも私が外国語として日本語を勉強したら、「三種類も文字を使わんと、全部ひらがなで書かんかいっ!」と突っ込みを入れたくなる事でしょう。一日本人としては「ひらがなのみでの表記は、読みにくい上に日本語の豊かさが失われてしまう」と感じますが。

こーんな難しい言語を自在に操る日本人なら、ドイツ語習得なんて御茶の子さいさ~い♪(というほど人生甘くない。)





相変わらず常識不足のワタクシ、また広辞苑のお世話になりました。

○御茶の子
 (1)茶の子。お茶菓子。また、間食としてとる軽い食事。
 (2)(腹にたまらないところから)たやすくできること。御茶の子さいさい(「さいさい」は俗謡のはやし言葉)。

これってもしや、英語表現 "a piece of cake" と発想も意味も全く同じでは?人間って面白いですね。
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by penguinophile | 2006-09-20 23:15 | 言葉、亜細亜 | Trackback | Comments(12)
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Commented by まき at 2006-09-21 00:46 x
オオシの話はいつも興味深いネタばっかり!最近暇な私は、更新が楽しみで
日に3回くらい見に来てます!タイトルのつけ方がうまいし、生の会話の引用が
リアルでいいんだよね。いつか本にまとめてみたら?伊達公子の本もドイツ事情
を紹介してるから機会があったら読んでみて。お邪魔できれば、お持ちします。

ポーランド語はドイツ語とどれ程違うのかね?日本語のカナもかなも、そもそも
流行だったりするし、崩して遊ぶ文化なのかな、と思うこともあるわ。タイ人友達
に「古文の勉強難しいでしょ?」って訊いた時、「いいえ。日本語と似てる」って
言われて、微妙な感じがしたのを覚えてます(今日のクーデターは少し心配)。

仏語等もそうだけど、どうして男性名詞と女性名詞があるのか、うまく説明して
くれた先生は1人もいなかったけど、なぜ何だろう。そして、どうして英語には
それがなかったのかしら?この謎はお茶の子じゃ解けないね。
Commented by anthonberg at 2006-09-21 02:07
新婚仲間です。(笑)
私も日本語の説明は出来ません。夫が真剣に勉強しないのである意味助かります。ドイツ語は文法がかなりややこしいですけど発音は書いた通りですよね。デンマークはまるで逆。文法はドイツ語より簡単ですが発音は大変で、書いた通りには読みません。どうやってスペルを覚えろと?って感じです。デンマーク人に木が『tree』と教えたら林と森の意味がすぐ理解出来ましたよ。じゃ4つの木はないのか?と言われて絶句。難しいですよねー、日本語も。
あとデン人とドイツ人の友達に日本語の読み方を教えた時に『〜です。』を『desu』と書くと読めないんでびっくり!そして2人とも『最後のuは発音しないしむしろssって書くべきだ。』と言われました!これびっくり!旦那さんに聞いてみて下さい。どっちの方がわかりやすいか!でもこれは国によって違うと思うので、たまたまデン人とドイツ人にはdess=ですなんだと思います。
Commented by nyf1403 at 2006-09-21 03:52
日本語の方が、ず〜〜〜〜っと奥が深いでっせ、シンコンのオクサマ!
どこの国で「ボクはうなぎだ」が通じるっていうんですかぃ!
ひらがなをローマ字表記するというのは、縦のものを無理矢理横にしているわけだから、完璧には伝わりませんよね。(おぉ、オカアタン、たまにはいい事、思いつくんだにゃ〜。)
Commented by chibininn at 2006-09-21 17:51
こんにちは~。お邪魔しまーす。シンコンさんなんですね。遅ればせながら、おめでとうございます♪

インド・ヨーロッパ語族の人は、全く違う文字を使うアジアの言葉は本当に神秘的に感じるようですね。そうそう、仰るとおり、ドイツ人に日本語について話をすると、必ず、何故ひらがな・カタカナ・漢字の3つが必要なの?って聞かれます。でも、この3つの文字があるおかげで、斜め読みが出来るので、日本語では目から入ってくる情報を脳がプロセスする速度が速いんじゃないでしょうか。その反面、習得にすごく時間がかかるのが難点ですよね・・・。日本人でよかった~。

↓ミュンヘンでは、Drehsushi(回転寿司)が主流なんですが、あれを本当の寿司と思わないで欲しいなぁと思いつつ、「SUSHIおいしいよね」といわれると悪い気はしないのです。フクザツ。
Commented by penguinophile at 2006-09-21 22:52
まきちゃん:
いくらワタクシがおだてに弱いサル型人間でも、誉め過ぎでございますわよ。オ~ホホホ(←でもちょっといい気になってる。)

ポーランド語、この女の子の話では、格が7つ(ドイツ語は4つ)あるのだとか。あと名詞の性がドイツ語と違うことがあるそうです。以前夫に「なんで名詞に性なんかあるのよー」と八つ当たり(?)したら、「ラテン語にあったから」と言われました。それじゃ答になってないだろ、と思いましたよ。
Commented by penguinophile at 2006-09-21 23:05
anthonbergさま:
デン語、表音文字なんだから書いてある通りに発音してくれよーって感じですね。お互い「ドイツ語より文法はマシ」「デン語より発音はマシ」と、自分の芝が青い気になって頑張りましょうかね?

dessの話、日本語の表記は「母音のみ」あるいは「子音+母音」という組合せしかありませんが、実際には子音しか発音していないケースもあるという事ですね。そういえば「外国人の話す日本語は、子音の後の母音を強く発音し過ぎて不自然に聞こえる」と聞いたことがあります。でもそれで誤解を生む恐れはないので、コミュニケーションツールとしては、あまり気にしなくてもOKという気も。

木が4つ=満員電車並の混雑ぶりのため光合成困難?
Commented by penguinophile at 2006-09-21 23:12
nyf1403さま:
あはは、今度マーケットで "Ich bin ein Aal." とか言ってみましょうか。不思議そうな顔で聞き返されるか、頭の弱いかわいそうな人だと思われるか・・・(真相は頭の弱いかわいそうなガイジンです)
Commented by penguinophile at 2006-09-21 23:26
chibininn%ドイツ語学習道のココロの師匠さま:(←昨日勝手にご就任頂きました。嫌がられても手遅れですのでご容赦を。)
ようこそお越し下さいました♪そうなんです、どうやらシンコンさんらしいです。お祝いの言葉、どうもありがとうございます。

日本語では斜め読みができるのに英語ではできない理由は、私の英語力が不足しているせいだけではなく、日本語は漢字があるからじゃないか?・・・と前から思っていたんですけど、やっぱり関係あるんですよね、きっと!

回転鮨ってDrehsushiて言うんですか~。なんだか「奴隷寿司」に聞こえてしまいそう(^^;。「SUSHIおいしいよね」と言われると、「そんなアナタにホントに美味しいお鮨を食べさせてあげたいわっ」とか思います。

Commented by ちえ at 2006-09-25 15:46 x
表記文字の事を英語で ideographic character と言います。でも、そう言っても、多くのアメリカ人には「は?」という顔をされます。英語がへたくそな私は、アメリカ人に「英語は一番難しい言語だ」とよく言われます。理由は、たしかに独語とか仏語とかは学び始めは難しいけど、入ってしまうと規則的なのに対して、英語は例外が多すぎるから。まったく世界で一番使われている言語しか話せない人たちには困ったものです。そう言われると、日本語で日常的に使われている漢字は三千文字、中国語ではもっとずっと多い。英語と日本語とには二音声しか無いのに、中国語には四音声、広東語は九音声、ベトナム語なんかには十三音声もあるんだよ。そんなの私らのには physical に扱う事は不可能なんだよと説明します。という私も、四音声で中国語を挫折した口ですが...
Commented by penguinophile at 2006-09-25 17:26
ちえ さま:
す、すみません、この場合の「音声」って・・・いったい何物?二音声=子音+母音ってこと?しかしそうすると13ってのはいったい?中国語はビンインとかいうイントネーション?が難しいって聞いたことあるけど、関係ある?
(なんだか?だらけになってしまった・・・)
Commented by ちえ at 2006-09-27 09:19 x
どうやら「音声」というのは私の勘違いで、正しい言葉は「声調」だったみたい。英語では "tone" といい、北京語のことは四声っていうらしい。イントネーションというのは文の中での強弱なのに対して、声調/tone は音節/syllable に対するものなのでずっと短い。syllable っていうのは日本語にすれば仮名の一文字にあたるのかな? Hiragana = the cursive Japanese syllablic writing system. だそうなので。中国語の発音の練習はこの四声の発音から始まる。「まー、まー、まー、まー」ってね。親切な中国人の友達のおかげで、この発音はマスターしたけど、自分で言ってても違いがわからない。やっぱり育った環境で訓練してない日本人が L と R の区別がつかないのと同じ。この声調はとっても大事で、北京語だったか広東語だったかで、「押す」も「引く」も日本語で書くと「ラー」でもちろん私には違いがわからない。意味反対なのに。ピンインというのは中国語版のローマ字に母音にあたる部分にこの声調記号があるものだって。中国語の入力方法としてピンインがよく使われている。私たちのローマ字入力みたいなものかな?
http://ja.wikipedia.org/wiki/声調
Commented by penguinophile at 2006-09-28 01:04
ちえ さま:
あ、なるほど、それは中国語について聞いたことがある。それでも4つくらいなら、自分で区別できなくても想像くらいは出来そうな気がするが、13ってのはいったい・・・。
wikipedia覗いてみました。四声を日本語の感嘆詞で表そうとする努力が涙ぐましい(^^;
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ドイツ田舎町での地味暮らしを徒然なるままに。


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