日々是修行也

本日、外は嵐です。おまけに先程から既に三度ほど瞬停しましたので、念のためロウソク、マッチ、懐中電灯の置き場所を確認しました。雷サージ以外の停電でもパソコン切った方が無難なのかなぁ?とか疑問に思いつつもネットしてる私。だってホントにすごい風の音で、ほっとかれ新妻としてはちょっと心細いのです。でも、夫はこっちの町にいたら雨が降ろうが槍が降ろうが自転車通勤なので、いくらタフなゲルマン人でもいなくてちょうど良かったかも。

さて、ドイツ語講座の学期が終わりました。来週はお休みで、再来週から一つ上のクラスを受講します。新しい先生との相性はちょっと心配ですが、これまでのクラスメートのうち何人かはまた一緒なので、最初に通い始めた時より心強いです。

私が通っている市民学校の「外国人のためのドイツ語講座」は、希望者は誰でも受けられますが、私の場合は、移民等のドイツ社会への統合を目指す政策の一環であるIntegrationskursとして受講しているため、学費の約半額が免除されています。このIntegrationkursは、ドイツ語600時間+ドイツの法律、政治、文化、歴史等に関する講義30時間で構成されており、最後に試験があります。期間は学校によると思いますが、私が通っている学校のカリキュラムでは、全て受講するのに通常2年以上かかるようです。私の現在の滞在許可は期限付きですが、将来的に無期限の滞在許可を申請する際、このコース参加と試験結果が考慮されるようです。

「試験!」と考えるとドキドキものですが、今はまだ先の話。私はこれまで200時間のドイツ語の授業を受けましたが、最初の100時間は独学でスキップしたので、カリキュラム的には既に全体の半分(300時間)まで進んだ事になります。その割には全然話せるようになってないよ~、大丈夫なのか~?(--;。

授業は基本的に、文法を中心としたテキストに沿って進められています。ドイツ語文法、はっきり言ってかなり鬱陶しい代物ですが、文法事項を理解するのは、個人的にはさほど困難ではありません。日本人は一般に教育水準が高いですから、母国語の読み書きも習った事がない生徒さんとは違い、しゃべるのは苦手だが文法はわかるという人が多いのではないでしょうか。
私の問題はむしろ「記憶力」。昨日習った文法事項をもう忘れてる、さっき辞書でひいた単語をもう忘れてる。あぁこのザル頭、誰かどうにかしてくれぇ~、って感じ。もともと暗記物は苦手で、英語もボキャ貧なのですが、年とともにますます・・・いや、これは単なる怠慢の言い訳ですね、はい。頑張ります、えぇ。トホホ~。

ドイツ語に触れた事がないというラッキーなあなたにもドイツ語文法の鬱陶しさをご理解頂くため(え?理解したくない?)、私が最近の授業で最も途方にくれた例をご紹介致しましょう。それは「形容詞の変化」です。
日本語の場合、例えば「美しい」という形容詞は、美しい対象が彼だろうが彼女だろうが本だろうが彼らだろうが、「美しい」のまま変化しません。英語でも"beautiful"で変化なし。しかしドイツ語の場合、なんと形容する対象によって形容詞の語尾が変化します。
まず、名詞の性と数によって4種類(男性、女性、中性、複数)、更に主語か目的語かといった格によって4種類(1格、2格、3格、4格)、おまけに冠詞の種類によって3種類(無冠詞、定冠詞、不定冠詞類)。つまり、一つの形容詞について、4×4×3の三次元行列(計48セル)の語尾変化(形式は-e, -er, -em, -en, -es)を頭に叩き込み、自由に取り出せるようにしないといけないわけです!
以上、わかりにくい説明で恐縮ですが、私の説明が悪いだけじゃなく、ホントにわかりにくいんですよ~(爆)。そして、いちおう規則性は皆無ではないので、いったん理解はしたものの、「覚えられない~っ」と放り出している私。いいのだろうか?・・・もちろんよくありません(涙)。

言葉が不自由だというのは、日常生活が連想ゲームとジェスチャーゲームになる、という事です(少なくとも私の場合)。だいたい5%しか聞き取れない言葉から残りを想像して「えいやっ」と行動するので、はずれる事も結構多い。コミュニケーションなので、必然的に相手も否応なしにゲームに付き合わされる事になります。ドイツ語教室なんて、全員似たり寄ったりのレベルだから、珍問答率も極めて高し。興味をお持ちの方は以下をどうぞ↓




○教室で・その1
ローカル紙の一面に「東京で地震」というニュースが出ていた事がありました。「こんな遠くの地元紙の一面になるなんて、まさかついに東京大地震が起きたかっ!?」と血相を変えて気象庁のホームページを見たら、最大震度3。ちょっとずっこけました。
でも、それを読んだスリランカ人のクラスメートが、きっと心配してくれたのでしょう、翌日声をかけてくれました。
生徒A「東京で地震(das Erdbeben)があったんだって?」
私「え、東京でイチゴ(die Erdbeere)???」

○教室で・その2
先生「あなたの夫はドイツ人ですか?(Ist dein Mann Deutsche?)」
生徒B「はい、私の夫はドイツ人です。(Ja, mein Mann ist Deutsche.)」
先生に誘導されつつちゃんと答えました。しかし約3分経過後、この生徒はようやく質問の意味を理解したらしく、あわてて再度発言。
生徒B「私は独身です!(Ich bin ledig!)」

○受け取りサイン
うちに届いた国際スピード郵便(EMS)に、受け取りのサイン(die Unterschrift)を頼まれました。線をひいてある場所が二箇所あったので、両方とも漢字でサインしてから、
「あれれ、でもなんで同じ紙に並んで二箇所もサインが必要なの?」
と思って顔を上げたら、郵便屋のおじさんが、一生懸命キーボードを打つ真似をしながら、目で必死に何か訴えている。どうやら片方は活字体で記入するべきだったらしい。
「後でコンピュータに入力しなくちゃいけないんだよ。」
それは確かに漢字じゃ無理だよね・・・おじさん、ゴメン。
ちなみにこの時は紙でしたが、携帯端末みたいなのに電子ペン(?)でサインするように言われた事もあり、日本より進んでる~とびっくり。

○セールス
ある日、チャイムに答えて玄関を開けると、掃除機のセールスマン(たぶん)が立っていました。しかし私には用件がサッパリわからない。そもそも引っ越してからセールスマンが来るのなんて初めてだったので、相手がセールスマンだという事すらもサッパリわからない。
翌日来るはずだったバルコニー修理の職人さんが一日早く来たのかな?と思い、「バルコン?」とか聞いてみましたが、どうやら違うらしい(たぶん相手もかなり「ナンノコッチャ?」と思った事でしょう)。
結局、掃除機の写真が載っているパンフレットを見せられた段階で、「あぁもしかしてセールスマンかなぁ?」と思い、
「私たちは、古い“清潔な”を持っています。たぶん、ナイ。」
とか、後から冷静に考えるとかなり意味不明な事をほざいてみたら、相手はおとなしく帰っていきました(根負け?)。

私の毎日、だいたいこんな調子です。本人、いたって大真面目なんですが、後から考えると&傍から見るとボケまくり。旅の恥、掻き捨てまくり。旅と言い切れないのが辛いところですが、まぁ「月日は百代の過客にして行きかふ年も又旅人也」って事で(意味が違う?)。
スーパーで買い物しても、肉やチーズは基本的に対面販売ですから、分量を聞き間違えられて、後から慌てて減らしてもらう、なんて事もしょっちゅう。助手席に座れば左(links)と右(recht)を間違えて迷う(迷わせる)事もしばしば(犠牲者はもちろん夫。すまん・・・)。
でも有難い事に、無視されたり嫌な顔をされて不愉快な思いをした事は、これまでほとんどありません。まぁ単に運が良かったとか、相手も商売だからかもしれませんが、やっぱり田舎町だから、人もなんとなくおっとりしているお陰かもしれませんね。
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by penguinophile | 2007-01-19 02:29 | 言葉、亜細亜 | Trackback | Comments(14)
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Commented by nyf1403 at 2007-01-19 03:19 x
あ、その掃除機、きっとVorwerkじゃないかな。訪問販売で、セールストーク、すごいですよ。だまされて買ったのは、はい、私です。
私だって、未だに、200グラムと言ったのに1200グラムと聴き間違えられたりしちゃうんですから、大丈夫。って何が大丈夫なんだろうにゃ〜。

あちこちて書いていますが、文法は最初に正しく覚えるのがベストです。文法が正しければ、簡単なドイツ語文章も正しい文章なんだもん。なんてね、語尾はいつもむにゃむにゃ、ってやっちゃいますけど、未だに。
Commented by akberlin at 2007-01-19 03:38
ああ~、形容詞。自慢ぢゃないですけど(←「自慢」にするなよ!)ワタシ、
年数から言うと10年くらい細々とドイツ語習った計算になっちゃうんですが、
はい、ダメです。ぜんぜんなっちゃないです。形容詞のまえに名詞の性も覚えられないし・・・。

いや~今日なんて風がすごいでしょう、それでね、木の枝が
グラグラ揺れてて、初めて「木の枝・Ast(der)」っていう単語を
覚えてしまいましたよ。
「・・・マジでこの単語、知らなかったの?今まで??」と相方に
確認されました・・・。ええ、日々、まだ習うことがありますわ・・・。

penguinophileさんはご主人とは英語でお話なのでしょうか?
それとも日本語?
Commented by anthonberg at 2007-01-19 04:04
若くない新婚仲間が来ましたよ。(爆)仲良しのポーランド人、国でドイツ語の勉強しただけで話せる。そして『ドイツ語はパズルなのよ。文法が理解していたら単語をはめこむだけ。』と言ってました〜。日本人にはそんな事言えませんぜっ。でも私達は英語を学校で習っていてアルファベットのベースがあるだけで、日本語はまったく別の言語でアルファベットの言語を習うのは至難の技なんですよね。それをこなすだけでも大変だし、お互い頑張っている&これからも頑張りましょうですよ♪
私はドイツ語全然わからないけど、文法凄い大変ですよね。馬鹿な私には無理な言語です。デン語は同じように形容詞が3段階に変化します。あと発音が微妙に違うだけだし日本語の『箸』『橋』のように同じだけど違う意味があったりです。デン語は文法より発音が難しく母音が多いせいで書いた通りに読めないという問題があり喉も舌も使わない日本人には聞き取り不可能な言語です。
レベルアップおめでとう!300時間分の内容をクリアしているのね。結構高いと思うんだけど…。私英語は英会話スクールで10ヶ月400時間しか勉強していませんよ。最近英語のスペルが書けなくなってます。(汗)
Commented by glueck at 2007-01-19 04:06 x
いやー5年もいながら、しかも働いていますが、
形容詞変化というかその前に名詞の性、あやふやです・・・・。
今が大切な時ですからしっかり叩き込んで下さい。
でも、間違っていても通じるからそれにこだわり過ぎて
話すのを恐れないで下さいね。

対面販売の話しは、商売といっても「嫌な顔」「無愛想」な
販売員はたくさんいますので、penguinophileさんが行かれている
ところはきっと親切なんだと思いますよ。
Commented by penguinophile at 2007-01-19 06:39
nyf1403さま;
Verwerk・・・そういえばそんな名前だったような?セールストーク、すごいんですか~。でも私のドイツ語能力の低さの方が勝ちました!(←自慢する事か?)

高尚なドイツ語を身に着けようなんて野望は抱いておりませんが、簡単でもいいから正しい文で話すように心がけたいものです・・・難しいけど。

Commented by penguinophile at 2007-01-19 06:51
akberlinさま:
そう、いくら形容詞の三次元行列だけ暗記しても、名詞の性がわかってないと、ぜーんぜん意味ないんですよねー(涙)。
相方さんは「ネイティブ」ですもんね。外国語は、コミュニケーションに困らないレベルに達しても「ネイティブ並」にはならないから、勉強に終わりがない気がします。そして英語だけでも一生勉強だわーと思っていたのに、ナゼかドイツ語に悩まされている私(--。
夫とは英語がメイン、最近は頑張ってドイツ語もちょっと。日本語は「ただいま」「おかえりなさい」程度ですね。
Commented by penguinophile at 2007-01-19 07:00
anthonbergさま:
日本人の私でも「ドイツ語はパズル」とは言えるかも。でもパズルのルールを身につける&当てはめる単語を性ごと覚えるのがエライコッチャなので、「パズルだから簡単」とは一生言えません(--;。
授業は300時間分まで来て、とりあえず落ちこぼれてはいませんが、文法事項をちゃんと自分のものとして身につけてないし、ボキャ貧だしで、ちゃんとクリアしたと言えるかどうかはかなり怪しい有様です。

ドイツ語のchでさえ喉が使えず咳き込んでいるワタクシには、デン語の発音は想像すらできません。おまけにanthonbergさんの場合、方言とも格闘ですから強烈ですよね。
お互い頑張りましょー!
Commented by penguinophile at 2007-01-19 07:08
glueckさま:
やっぱり最初が肝心なんですよね。でも確かに、机の上で理解するのと話す時に使いこなせるのとは別の話なので、間違いを怖がってたらいつまでたっても話せないですよね。大胆に繊細に参ります(ってよくわからんが)。

対面販売、嫌な顔はされないけど、無愛想な顔をされる事はありますね。まぁ日本と逆で「販売員は神様です、買わせて頂き恐縮なり」とでも思っておけばいいかしら、みたいな(笑)
Commented by nyf1403 at 2007-01-19 20:28 x
名詞に性があるっちゅうことが、だいたいいけないんですよ。そんなもん、あるわけないじゃん。いや、妹が女性名詞、とか弟は男性名詞というのはいいです。でも、それ以外の性別かんけいないものは、すべて中性というのが正しい考え方であると、私はここで主張したいのでありますっ!
Commented by penguinophile at 2007-01-20 04:12
nyf1403さま:
賛成一票!いや、諸手を挙げて二票を投じたい位。椅子だの机だの、単なるモノなんだから、オトコもオンナもないっちゅーの。ったく!
格は面倒だけど存在意義は認めます。不定冠詞や定冠詞も、なくても困りゃしないのはわかってるけど、いちおう存在意義は認めてあげてもいい。でも名詞の性だけは、全く意味がないと思います。そういう無駄があるから言語が面白くなるのかもしれないが、勘弁してよって感じ。
「なんで名詞に性なんかあるのよー」と嘆いて「ラテン語にあったから」というお答えを頂いたことがございます。答えになっとらーんっ(--メ
Commented by 東風 at 2007-01-21 15:14 x
ワタクシの第二外国語の担当教員はテキトーな人で、このクラス出身者の文法能力が著しく低いということが翌年の中級担当者にバレ、その先生、その後ウチの大学には来ませんでした。とにかく、しょっぱながそれだったので、ドイツの語学学校へ入ってから、メッキはげっぱなしでした。
あ、トリビアなことですが、酒類は原則男性名詞だけど、ビールは中性です。なぜなら、麦から作り出されるものだから。レストランでみんなで食事をしているときに、先生が急に言い出したんです。麦から作られるパンも中性よ、と。(ああ、こういうことは覚えていますが、記憶力の問題、私は10代からありましたよ)
三週間ほど現地でドイツ語習って、名詞の性を無理やり覚えて、日本に帰ってくると、目に入ってくるものすべてが「これは男らしい」「女らしい」「中間」という変な属性で見えてきたことがあります。
Commented by penguinophile at 2007-01-22 00:15
東風さま:
私の第二外国語はフランス語でした。こんな事になると知っていればドイツ語を選択したのに・・・いやフランス語は全く覚えていないので、きっと同じ結果だな(^^;
えぇー!ビールが中性名詞なのは麦から作り出されるものだから!?それは知りませんでした。国民的飲み物だから女性の反感を買わないために中性なのかと(そんなワケないって)
私も一ヶ月くらい強化期間を設けて、名詞の性を無理矢理覚える訓練をした方がよろしいような気がしてきました。
Commented by akberlin at 2007-01-22 20:13 x
こんにちは~。Web版の新聞で見つけた記事です。
日本でペンギン切手が出るらしいですよ!↓
http://www.asahi.com/national/update/0122/TKY200701220295.html
日本のご家族、お友達におねだりしてみては・・・。
Commented by penguinophile at 2007-01-23 01:30
akberlinさま:
あぁ~っ!これはまた素晴らしい情報を!ご通報ありがとうございます。
エンペラー&アデリー、可愛すぎます。こりゃーおねだり必須だわ。
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ドイツ田舎町での地味暮らしを徒然なるままに。


by penguinophile
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