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学校いろいろ

日本では今冬は記録的少雪だそうですが、ドイツも今年は暖冬です。寒がり&冷え性のワタクシ、「ドイツの冬は寒い」とビクビクしていたので、ちょっとラッキー。でも今週はぐっと冷え込み、私の住んでいるあたりでも初雪が降りました。といっても雪は土の上をうっすら覆った程度で、積もるまでには到りませんでした。

さて、日本の教育制度は、戦後アメリカに倣ったものでしたっけ。国公私立などの種類はありますが、基本的に六三三制という点ではどの学校も同じですよね。ところがドイツではどうやら幾つかバリエーションがあるらしい。夫から聞いて何となく知ってはいたのですが、先学期の授業でも教わりましたので、自分の記録がてら記載しておきます。

まず、die Grundschuleで4年間を過ごすのは皆共通。その後、das Gymnasium(9年間)、die Realschule(6年間)、die Hauptschule(5年間)、あるいは上記3つを合わせた総合学校die Gesamtschule(9年間)のいずれかに進学します。(ただしこの年数さえ、州によって微妙に違うケースもあり、ベルリンではGrundshuleが6年制らしい。日本に例えれば、東京だけ小学校が7年生まであるようなもの!?)
進路変更も不可能ではないらしいのですが、基本的には、Gymnasiumを卒業した生徒は大学へ進学し、RealschuleとHauptschuleを卒業した生徒は企業(der Betrieb)および職業学校(die Berufsschule)での職業訓練(die Berufsausbildung)に入ります。

要するに、ドイツでは「将来、大学へ進学するか?」を10歳で決めなければいけません。これは日本人の感覚だとすごく早いですよね。10歳では、純粋に本人の能力や意向というより、家庭環境が濃厚に反映されそうな気がします。ちなみに私が住んでいる州では、どの種類の学校に進むかという最終的な決定権が、親から先生に移りつつあるそうです。

もう一つ驚いたのが、学校が半日で終わってしまう、という事です。給食も弁当も掃除も昼休みも午後の授業も部活動も一切ナシ!高校生が平日も毎日自宅で昼食を取るなんて、日本ではちょっと考えられません。ドイツでは「当たり前」なんでしょうが、共働きを希望する親にとって、これはかなり大きな制約条件だなぁ・・・と前々から思っていたところ、案の定、以下のような記事を見かけました。

===(以下引用)
(前略)一方、ドイツの学校では授業が半日で終わってしまう上に、託児所や保育園の数が他のヨーロッパ諸国に比べて少なく、料金も割高なので、女性が子どもを持つと、仕事を続けるのが極めて難しい。
このため、出生率は下がる一方で、2003年には1.34とEUで最も低い国の1つとなっている。企業は半日しか働かない女性を、雇用したがらない傾向が強いのだ。(後略)
===(以上引用: 熊谷徹 週刊ドイツニュースダイジェスト 2006/12/01 http://www.tkumagai.de/)

ちなみに夫の場合、義両親がギムナジウムの教師で、更に夫と義弟は義母が勤務する学校に通っていました。つまり義母にしてみれば、自分の通勤がてら息子達を送り迎えできましたし、午後は子供達に眼を配りながらの在宅勤務が可能でした。でも、こんな形で仕事と家庭を両立できる親は、ごく例外的でしょう。
もしかすると、日本と比較して、パートタイムでも責任ある仕事に携われたり、ワークシェアリングが進んでいたりはするのかもしれません。それにしても、お母さん達にとってあまり働きやすい環境とは言えないような気がしてしまいます。
日本でもドイツでも少子化が進んでいるというのに、「仕事か家庭か」という超古典的な悩み、まだまだ健在なり?・・・トホホ~。
Commented by anthonberg at 2007-01-28 00:31
ドイツもこちらと同じで早くから進む道を決めるんですね。でも私の友だちは20歳でまだ進路決められない状態でした。(苦笑)デンマークも10歳くらいで一度道を決め、15歳で専門の学校に行くか、高校に行くか決めるのです。未だに高校進学率が50%切っている国ですから学歴云々はさほどないんですよね。ただドイツのニュースを見ていると『肩書き:主婦』と出て来る人が多く、専業主婦が多いのに驚きました。やっぱり仕事を続ける事が難しいのでしょうね。デンマークで専業をやるというのはある意味怠け者扱いなので主婦でもほとんどが仕事していますね。今までニュースを見て『主婦』と書かれていた人はいないです。学校が半日で終わったら、親も大変だと思いますよ…。
Commented by nyf1403 at 2007-01-28 03:55 x
現場より。(笑)
学校によっていろいろですが、父母のボランティアでの昼ご飯グループなどでのランチシステムがあるところも多いですし、食堂形式でのシステムのところもあります。この州では、午後も学校を、というモデル学校申請をして、それが通った学校が食堂を作るとか、ということが始まっています。
家でご飯を食べる生徒もいますが、少数になっていると思います。だから、こういうボランティアなりのシステムがない学校の生徒は、マクドナルドとか、ケバプで、ということもあるんです。

ドイツでは、女性のみっつのKというものが存在しておりまして、Kirche-Küche-Kinder教会、台所、子供というわけ。そして、子供を預けて仕事に戻る母親を、Rabenmutterとけなす人々がまだまだ、存在しております。元DDRのほうが、託児所などはしっかりしていた、再統一後、廃止されてしまった、ということもあったそうです。

書き始めるときりがないんで、うふ、発足会のときにまた、いろいろ怖い話をしてあげますよん。
Commented by eastwind-335 at 2007-01-28 12:23
夫の知人に、RealschuleーBerufschuleを経て大学に入りなおしたドイツ人がいます。一人は家具職人になるための勉強をしていたけれど、大学で哲学を勉強したくなったからと言ってました。ギムナジウム以外に道がないと思っていたので、びっくりでした。
Commented by nyf1403 at 2007-01-28 19:18
東風さん。横です。
義弟は、Hauptschuleのあと、看護士となって、そのあと、あれこれしていまして、Fachhochschule入学の資格をとって、そのあと、一般Abiturを夜間学校でとって、Universitätで生物と化学のギムナジウム教職をとり、今、自分を入学させなかった地元のギムナジウムで教師しています。五人兄弟の中で、社会的資格からいえば、猪之助とこの義弟が一番上です。彼一人、普通の道でのAbiをとっていません。
Commented by penguinophile at 2007-01-28 20:56
anthonbergさま:
20歳前後で迷走するニートは日本にもたくさんいますけど、あまり早くから進路が別れる制度だと、「人生の仕切り直し」に莫大なエネルギーと時間が必要になっちゃいますよねぇ~。
専業主婦志願者は、デンマークだと肩身が狭いけど、ドイツでは堂々としていられるかも?逆に就業希望の女性には、「働くのが当然」のデンマークの方が、気分的にラクかもなぁ。
Commented by penguinophile at 2007-01-28 21:10
nyf1403さま:
現場の声、待ってました(笑)。なにせうちの情報源が学校を卒業してからずいぶん時間が経ってますから。
いちおう対応策が進められつつあるんですね。子供がほぼ成人するまで片親がずっと働けない制度は困るけど、毎日マクドナルドやケバブってのも体に悪そうですものね。

ドイツの3Kは「超家庭的模範主婦」なんですか!それに教会が入っているのが、異教徒の私には新鮮です(笑)。Rabenmutterってカラス母?すごい表現だー。まぁ「母親のくせに子供を預けてまで働くのか」とか言う人は、日本にもまだまだいそうですけど。旧東独の状況は知りませんが、社会主義だと「子供は国家の財産、母親も労働力を提供して当然」みたいなイメージがあります。

怖い話、怖いけど聞きたい・・・
Commented by penguinophile at 2007-01-28 21:16
東風さま:
家具職人から哲学とは、なかなか華麗なる転身ですね。その方はたぶん下のnyfさんコメントにある義弟さん同様、Abiturからやり直したんだろうなぁ。
Commented by penguinophile at 2007-01-28 21:22
nyf1403さま:
横に縦レスです(笑)。義弟さん、頑張ったんですねぇ。
日本だと高校までは卒業している人が多いので、後から学術方面に目覚めた場合でも、大学入学資格はだいたい持ってるんですよね。その点、ドイツはAbiturからやり直さないといけないので、よりハードルが高い気がします。まぁ日本も大学受験というハードルがありますけど。
Commented by nyf1403 at 2007-01-28 23:12 x
Mutterkücheというのが猪之助の学校にありまして、昼ご飯を作る母親のグループです。父親も数人いるそうです。あと、たまに生徒のグループがすることもあるそうです。そのときは、サラダビュッへだとか。
イスラム教信者の生徒も大勢いますし、ベジタリアンの生徒もいますので、例えばトマトソース系パスタでも、肉入りソースとなしのがあったりするそうです。豚や牛のお肉ではなく、鶏肉が多いみたいです。
教師も一緒に食べているそうで、猪之助は生徒とのコミュニケーションの場としてとてもいいと言っています。(そうよ、ランチに帰られたら教師のヨメも困ります〜。)
Commented by penguinophile at 2007-01-29 00:36
nyf1403さま:
ほほ~、なるほど!現場の声、非常に興味深いです。
そう、一緒に食事をするのって、コミュニケーションの意味もあるじゃないですか。夫が「クラスメートと食事をしたのは、学校の旅行の時だけ」と聞いて、それって人間関係に微妙に影響しそうだなぁ、と思ったんです。もちろん家庭団欒も大事でしょうが、一日三食のうち一食くらいは友達と食べるのもいいんじゃないかと。
そして毎日三食とも家で食べる夫は・・・相手が大人なだけに、ある意味、子供以上に面倒に感じちゃうかも(笑)
by penguinophile | 2007-01-28 00:03 | 徒然 | Comments(10)