祖国に帰りたいと思えますか?

時事問題への関心が低過ぎる私ですが、今はミャンマーの情勢がとても気になっています。というのも、ちょうど一週間ほど前に、自国の状況を嘆きつつミャンマーに帰国した友人がいるからです。

彼女は、私とはドイツ語教室で知り合いましたが、たまたま夫とも同じ奨学金団体に所属していました。帰国直前にうちに食事に来てもらった時、彼女はとても残念そうでした。

「これまで二年間、ドイツで研究を進めてきて、せめて博士号を取るまでドイツ滞在を延長できるよう八方手を尽くしたけれども、資金や制度の関係から無理だった。ミャンマーに帰国したら、政府高官を相手に自分の研究を説明する事になっているが、その高官の気に入らなければ研究を続けられなくなってしまい、博士号取得のための勉強を続けられる保証がない。ミャンマーは場所によっては電気もインターネットも使えず、研究をまともに進められるような状況ではない。クーデターの時は学校も機能を停止してしまったので、自分達の世代はこれまでに計5年間を棒に振ってきた。」

こんな田舎町のドイツ語教室にすら、旧東側諸国をはじめとする、いろいろな国から来た人がいます。イラクやコソボといった、国の名前を聞いただけで、一般的な日本人よりもはるかにハードな人生を歩んでいそうな人もいます。「なぜドイツに来ましたか?」という質問に対する答えが、「私の国は戦争中だからです。」という、とても重いものだったりするのです。

人は生まれる環境を選べません。たまたま日本に生まれた日本人だという、日本に住んでいればわざわざ意識もしないほど当たり前の事実が、実はとても幸運な事なのだと、外国に暮らしていると気付かされる事があります。

もちろん、日本にも問題は山積みです。永田町や兜町には魑魅魍魎が跋扈しているし、一極集中した首都圏に直下型地震が起きるかもしれないし、テロの脅威もあるし、核をちらつかせる物騒な近隣国もあるし・・・。それでも、政治的・経済的に比較的安定していると言えるでしょうし、国としての地位も決して低くはありません。

私がドイツ国籍取得に興味がない理由の一つに、日本のパスポートの通りがいい事があります。もし私が、ビザなしではどこにも入国できず、パスポートを見せただけでテロとの関与や不法就労を疑われる国籍だったら、違う考えを持っていたかもしれません。

後ろ髪を引かれながらミャンマーに帰っていった友人を、祖国で待っていたのが、今回のデモでした。今はいったいどんな思いでいるのか・・・。彼女の今後の人生に幸多かれと祈るばかりです。
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by penguinophile | 2007-09-29 06:21 | 徒然 | Trackback | Comments(13)
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Commented by nyf1403 at 2007-09-29 16:12
同じように思っています。撫子仲間でも、ドイツ国籍になっている人、私の友人達にはいらっしゃいません。30年くらいいる人も、日本国籍です。なんの不自由もないのですから。パスポートの更新、それに伴い、ヴィザも張替えてもらう、ということはありますが。ただ、両親が亡くなったら日本での根っこの一つがなくなりますから、国籍のこと、考えると思います。
日本人であることの幸運、自分で選んだことでないラッキーな人生だと思います。
ビルマのお友達の無事を祈ります。軍隊の一部、ほんの一部でしょうが、デモンストレーションの民衆への発砲を拒否したそうです。
Commented by penguinophile at 2007-09-30 05:20
nyf1403さま:
nyfさんもやっぱり同じように感じていましたかー。ドイツから日本は遠いですが、「明日いきなり里帰り」も不可能ではない。それって当たり前のようで、実はかなり有り難い事なんですよね・・・。あと、国際結婚では、相手の国の制度によっては日本国籍を捨てざるを得ない場合もありますよね。で、日本よりずっと通用の悪いパスポートになっちゃう。
民衆への発砲を拒否した軍人がいたとは知りませんでした。わずかでも救いが見えるような気がします。
Commented by anthonberg at 2007-09-30 17:33
私は日本に帰りたいと思うけど、もう住みたいとは思いません。母国ってやっぱり違いますよね。両親の元をいずれは離れるけど、やっぱり自分の本当の親は2人だけ。そんな感じです。去年ミャンマー(彼らはずっとBurmaと言ってた)から来た夫婦と知り合いました。彼はとある事で刑務所にいて母国にいると殺される可能性が大だったので逃げて来たのです。でもデンマークとアメリカの選択でデンを選んだのは一生保証があったから。アメリカは5年のみ、その後は自活しなければいけないから言葉は楽でも選べなかったそう。だからデンでは仕事しなくても一生生きていけるそう。言葉も出来ず大変そうだけど、そういう人もいるんだなと知りました。
デンにはソマリアからの難民が多い。みんな仕事せず国の援助で生活、ソマリア人で固まっているからほとんど会いませんけどね。
私のコソボ人の友達はデン語も覚えて仕事もしています。中近東の友達は自分がどの国で生まれたのか、何人なのかわからないんです。生まれた時からデンに来るまでの17年ずっと家なしで逃げていたから。でも今介護の勉強して資格を取る努力をしています。
長いので分けます〜。
Commented by anthonberg at 2007-09-30 17:39
戦争が原因で異国に住んでも、努力している人としていない人がいます。異国に助けて貰ってもお金に不自由なく母国人同士で固まって生きている人達を見ると、まだ国から逃げられずにいる人達がかわいそうな気がします。デンではコソボ人追い返しをしているけれど、頑張って言葉も勉強もしている人を追い返してただ国の援助で生きて言葉すら話せない人達が残っているのは凄い差別だな、と感じます。外国人が一杯入って来ても労働力にならないと税金が高くなる一方ですからねぇ。デンマークって通常40%ですが、高給者は60%超えなのでこれ以上増えたら生きていけません。(>_<)
Commented by ちゃこ at 2007-09-30 18:55 x
確かに、こういう国に比べたら、日本は平和ボケしてるな~
永田町や兜町に魑魅魍魎がはびこってる様では・・・ね。
Commented by akberlin at 2007-09-30 19:15
うーん、私のクラスメートには戦争でドイツに来た人はいませんでしたが、
祖国が貧しいのでよい暮らしを求めて、っていう人はいました。ドイツは
思いの外、移民国家でいろんな国の人に知り合える機会があるのは
幸運なことと思います。いろんな国の文化や暮らしが知れて楽しい、という
レベルでなく、厳しい状況も実感をもって知ることができたり、その国の人
ならではの偏見や意見も垣間見ることが出来たり。日本ではなかなか
そういう人に当たり前のように知り合える機会ってないですからねぇ。
Commented by chibininn at 2007-10-01 05:46
ああ、私も帰る国があるっていいなぁといつも思ってます。ベルギー時代の知人に、イランのパーレビ王朝時代の政府高官の家族がいて、彼らが「自分たちには、もう帰る・帰れる国はない」と言ってましたから。旧体制の中枢にいたイラン人は、帰国=死を意味するそうで、しかし帰れないと思うからこそ、故国への郷愁はさらに強そうでした。ミャンマー人のお友達のように、本人の希望に反して自分の国に帰ることを強制されるケースもあるわけですね。日本のように恵まれた条件の母国を持っているのは、実は世界的に見れば少数派なのかもしれませんね。
Commented by はなはなマロン at 2007-10-01 13:02 x
私も、自分が日本に生まれたことは単に幸運に過ぎない、と考えています。だからせめてその幸運を、不運な人を助けることにつなげられないものかと思い、”アムネスティ・インターナショナル”という人権団体の活動をここ20年ほど続けてきました(ノーベル平和賞も受賞した、きちんとした団体です)。興味があればネット検索で見てみて下さいね。(政治犯を収容している国や刑務所に出来合いの葉書を送るだけですが、結構成果も挙げているんですよ!)
Commented by penguinophile at 2007-10-02 00:51
anthonbergさま:
内容の濃いコメントをありがとう!
いくら戦争難民でも、一生保証があって働かなくても生きていけちゃうっていうのは、何か違う気がします。もちろん最初からデン人と同じに働くのは無理だけど、いつかは自立できるような方向で援助するべきですよね。難民を引き受けるからにはそういう形にしないと、経済的にも厳しいし、デン人や他の移民との不公平感が強過ぎて、長い目で見ると難民全体のためにもならない気がします。
しかし自分がどこの国で生まれたかわからないというのは・・・スゴスギ。
Commented by penguinophile at 2007-10-02 00:53
ちゃこさま:
世界全体が平和ボケできるような状況ならいいのにねー
Commented by penguinophile at 2007-10-02 01:13
akberlinさま:
ドイツは、第二次大戦の後ろ暗さの反動(という表現は適切でないかもしれませんが)で、移民の受け入れに比較的寛容だと聞いたことがあります。
それでも私の住んでいるような田舎町だとたかが知れていますけど、ベルリンやケルンのような大都会(←いや、ドイツ的基準でね・・・)には外国人が多そうですよね。それに私たちも「移民」なので(実はこの言葉に自分が該当する事にいまだに違和感を感じてますが)、余計に外国人と知り合うような場に居合わせる機会が多くなるのかもしれません。
Commented by penguinophile at 2007-10-02 01:29
chibininnさま:
「帰国=死」ですか・・・う~む、魑魅魍魎の派閥争いなんて可愛らしいもんかもしれない。「帰国=生魚食べたい」なんて、本当におめでたいというかつくづく恵まれているんですよね・・・。
Commented by penguinophile at 2007-10-02 01:31
はなはなマロンさま:
アムネスティ・インターナショナルと言えば可愛くない猫の一筆箋・・・ってそういう話じゃなくて!(笑)20年も前から参加していらしたとは知りませんでした。ホームページを見たら、やはりもうミャンマーに対する行動が起こされているんですね。
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ドイツ田舎町での地味暮らしを徒然なるままに。


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