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江戸っ子的独逸田舎町生活

サウジアラビア

先週は夫が国外出張のため不在だった。行き先はなんとサウジアラビア。実はかれこれ10年ほど前、夫は北朝鮮に出張した事もある。北朝鮮の学生を援助する団体の代表として行ったので、危害を加えられる事はないとは思ったが、「結婚指輪ははずして行き、妻が日本人だとは言うな」と言って送り出した。ドイツ人夫がその忠告をどれだけ真剣に受け止めたかはわからないが、中国から北朝鮮に向かう機内で「皆さま、右手に見えます○○山は、偉大なる金日成首領様が、日本軍をたった一人で征伐した場所です!」というアナウンスを聞いたあたりで、気が引き締まったらしい。24時間体制の監視下に置かれた滞在後、無事に帰宅した夫は「これまで訪れた国の中で一番ヘンだった・・・」とつぶやいた。今回はまず、ビザ申請用紙に「禁止されているもの:酒、カードゲーム(賭け事禁止だから)、冗談(嘘が禁止だから)」と書いてあったあたりから異文化体験。酒やポルノやカードを持ち込み下手な冗談を言って留置所に放り込まれる・・・事もなく無事に帰宅した夫に、「北朝鮮とどっちの方がヘンだった?」と尋ねたら、「サウジも相当ヘンだった」という答が帰ってきた。

用務先は聖地メッカに隣接する大学だったが、非イスラム教徒はメッカに入れないので、海沿いのジェッダという町に滞在した。宿泊したインターコンチネンタルは「今まで泊まった中で一番豪華」で、特に朝食ビュッフェは圧巻だったとか。用務先へはメッカ市内は突っ切れないので車で1時間半かけて迂回して通い、帰り道にラクダ農場に寄って、ラクダからコップに直接絞ったミルクを飲んだとか。ちなみにラクダのミルクは、山羊のような匂いはなく、飲みやすかったらしい。

用務先の大学には男子キャンパスと女子キャンパスがあり、女子キャンパスは男子禁制だが、男子キャンパスに女子が出入りする事は出来るので、共用設備は男子キャンパス内に置かれている。男子キャンパス内で行われた会議には女性教員も出席したが、目だけを出した黒装束姿で、ほとんど発言せず、食事と祈りの際は女性専用スペースに消え、写真には写らないように配慮されたらしい。「男女七歳にして席を同じゅうせず」を実践する国において、女性の教師と医師が必要となるのは想像に難くないが、それ以外の職業に女性がつく事は難しいらしい。

サウジアラビアの女性については、車の運転を出来るようになるとか、家族連れならサッカー観戦が出来るようになったとかいう最近のニュースを耳にした人も多いだろう。せっかく大学を出ても職業選択の幅が狭いのは、人材面のみならず社会コスト面からももったいないような気がするのだが、オイルマネーで潤い納税義務もない国の感覚はよくわからない。仕事と家庭の両立に奮闘するワーキングマザーは、私にとっては尊敬の対象なのだが、家事は外国人メイドに育児は外国人ナニーに任せっきりのサウジ有閑マダムにとっては、むしろ哀れみの対象なのかもしれない。なにしろそもそもの価値観が全く違うのだから、どちらの方が幸せだと一概に判断はできない。しかしながら、「不倫が発覚した場合、女性は死刑で男性は鞭打ち刑(出典:Wikipedia「サウジアラビアにおける女性の人権」)」というのは、あまりにもひど過ぎると思う。

我が身を振り返ってみれば、サッカー王国・ビール天国・車社会のドイツに10年以上住んでいながら、サッカーには興味がなくお酒もほとんど飲まないペーパードライバー。だからこれらの権利を取り上げられた場合、あまり気分はよろしくないが、実質的には大きな機会損失とは言い難い。衣服に対するこだわりはあまりないので、気候に合って快適ならそれでいい。親族以外の男性と接点がないというのも、生まれた時からそれが当たり前なら、大して気にならないと思う。結婚相手は自分で決めたいけれど、そもそも結婚なんてギャンブル性が高いので、価値観が違い過ぎない相手とならば、何とかやっていけるかもしれない。しかし「親族男性の付き添いがなければ外出できない」のは、どうしても我慢できそうにない。引きこもり主婦的生活を送っているとはいえ、幼稚園時代から友達と登園したり一人で友達の家に遊びに行ったりしてきたのだから、今さら単独外出を禁止されたら軟禁状態と感じるだろう。




夫の出張中に、次男と娘の保護者会があった。仕事をしている親が参加できるよう、保護者会は夜8時から始まる。夫は「子供は寝かせておけばいい」と言ったが、私は夜に小学生の子供だけで留守番をさせるのは抵抗があり、ご近所さんに来てもらった。次男(3年生)のクラスでは、近々女子生徒にタンポンの試供品が配られるらしい。ちなみにドイツのタンポンは、アプリケータ式などという初心者に優しい商品はなく、日本人ママ友間でも抵抗があると話題になった代物だ。担任の先生いわく「さっき算数の先生が『生活の中で数や計算をして下さい』と言っていましたよね。タンポンに200ccの水を吸わせる実験はどうでしょう。男の子もきっと興味があるでしょう。」それを聞いた私は、「自分で実験したらちょっと楽しそうだ」とは思ったが、なにせ昭和の人間なので、小学生が男女一緒にタンポンで実験している姿を想像すると、ちと首をかしげてしまった。性教育の必要性を否定するつもりはないし、オープンな雰囲気も結構だが、タンポンの機能性まで男性に知ってもらう必要性は感じない。とはいえドイツ語で論理的に反対意見を述べる自信も勇気もなかったので発言はせず、他の保護者からも特に反対意見は出なかった。っつーことはホントにやるのか、次男。

片や男女七歳にして席を同じうせず、片や8~9歳の男女が仲良くタンポンで実験。いやはや世界は広い。

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by penguinophile | 2018-02-28 22:26 | 徒然 | Trackback | Comments(0)