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コロナ禍お見舞い、転居のお知らせ、そして追悼。

しばらくご無沙汰しているうちに、「鎖国」や「戒厳令」といった言葉が思い浮かぶような世界になってしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

私事ですが、遅ればせながらマイホーム購入に踏み切り、2月下旬に引っ越しました。転居後しばらくは普通の日常生活を送っていたのですが、その後3/16から学校が休校になり、続いて劇場等が閉鎖、店舗も食料品等の生活必需品を売る店を除き営業休止、レストランも閉鎖、接触禁止措置の施行・・・と、あれよあれよという間にすっかり社会が様変わりしてしまいました。食料やトイレットペーパー等の備蓄を使い切って引っ越しを済ませ、さぁ補充しよう!と思ったら、店舗在庫が品薄かよ~っという素晴らしいタイミング(^^;。夫も在宅勤務になったので、うちは3週間前からフルハウスで、夫か私が数日おきに食料品を買いに出る以外は家籠り中です。まぁワタシはそもそも引きこもり主婦なので、ギャップは少ない方だと思いますし、こんな状況でも水や電気などのライフラインや食糧の調達に困らないのは、本当に有難いことです。在宅時間が増えた分、引越荷物の片づけが早く進んだ一方、家具が買えないため段ボール箱が積み重なったままの部屋もあります。それにしても、家籠り状態になったのが、子供達が庭で遊べる一軒家への引っ越しを無事に終えた後で、本当に良かったです。復活祭休暇明けの4/19までは、現状が続く予定ですが、その後学校が再開できるのかは、現時点では不明です。

そんな不安定な生活の中、とても悲しいお知らせが入りました。「虎ママの独逸日記」ブログ主のnyf1403こと虎ママナタリーさんの訃報です。旦那様からお知らせを頂いたのですが、転居のせいで郵便の受取が遅れてしまいました。旧居の壁にペンキの塗り直しに行った際、郵便受けに訃報を見つけ、差出人の名前と黒枠封筒から中身を察して凍り付いてしまいました。詳しい事はわかりませんが、苦しい闘病の末に迎えた死だったようです。
私がドイツでの生活について日本で情報を収集していた頃、頻繁にブログを更新していらっしゃったのが、虎ママさんでした。人柄がにじみ出る読みやすい文章、ドイツに関するお役立ち情報、猫の虎ちゃんの可愛さから、愛読者になりました。私が渡独してブログを開設してからは、お互いにコメントを寄せ合うようになりました。ドイツ語がほとんど話せず、身近に日本人がいなかった私にとって、ドイツ生活大先輩の虎ママさんは大きな支えでした。虎ママさんのお声がけで開催されたオフ会にも参加させて頂き、楽しくて美味しい時間を共に過ごしました。最近ではブログもお付き合いもすっかりご無沙汰しており、虎ママさんと最後に連絡を取ったのは一年以上前だったと思いますが、まさかこんな知らせを受け取るなんて。日々の生活では思い出す機会が少なくとも、同じ日本人女性の(しかも実は本名が同じ)虎ママさんが南ドイツで「家事もするオルガン弾き」として日々頑張り続けている事は、私の中で支えであり続けたのだと、気付かされました。
別に何歳になったら死んでもいいという訳ではないけれど、まだ若過ぎる。子供が手がかからなくなったら泊まりに行かせて下さいね、という約束は果たせないままでした。でもなぜかそれよりも、彼女の弾くオルガンを教会で聴く機会が一度もなかった事が、残念でなりません。せめてもの慰めは、彼女が病苦から解放された事、そしてこのコロナ騒ぎによって多くの人が集まって故人を忍び慰め合うのが難しくなる前に葬儀が執り行われた事です。残された旦那様がどうしていらっしゃるか気にはなりますが、面識すらない私には慰めようもないので、せめて下手なドイツ語で心をこめて手紙をしたためました。

再びコロナ禍について。
メルケル首相はテレビで、「物理的な距離を取りながら一致団結するというのはいささか逆説的ですが」と前置きをした後で、「人類がこの危機を乗り切れる事を、私は疑っていません。しかしそれまでに、いったいいくつの命が失われるのか。その数を少しでも減らすために、どうか・・・」と、国民に協力を呼び掛けていました(記憶だけを頼りに書いてるので嘘だったらすんません。つーかそもそもヒアリング能力にも問題が^^;)。
「老若男女を問わず致死率99%」とかいう病気ではないので、新型コロナウイルスが人類を滅亡させるよりも、ほぼ全人類が一通り感染して免疫をつけるか有効なワクチンが開発される方が早いでしょうから、メルケル首相の言う通り、人類は長期的にはこの危機を乗り切れる事でしょう。一方、もし「一人でも多くの人を感染させる」のがウイルスの使命だとすれば、新型コロナウイルスが持つ「一部の人に死をもたらす一方で、症状がなく普通に活動できる人も多い」という性質は、敵ながら天晴れとすら思えてしまう、非常に狡猾な仕組みだと思います。
私がこの町に引っ越してきてから一番お世話になりとても頼りにしている女性が、去年から癌で闘病中です。喫煙が原因と思われる肺癌が脳に転移し、今は化学療法などを受けていますが、残念ながら著しい効果はないようです。例えば今、私がコロナウイルスに感染した場合に死に至る確率は、高速道路を運転した場合に死亡事故を起こす確率よりも低いでしょう(←後者が高過ぎる^^;)。でもこの小さな町で感染が広がって、肺に爆弾を抱える彼女が感染したら?あるいは例え彼女自身が感染しなくても、医療崩壊が起こって満足な癌治療を受けられなくなったら?・・・そう考えたらとても怖くて、非力な私がそんな事態を避けるために出来るのが家にいて人との接触を避ける事だけなら、喜んでそうしよう、と思うのです。

新型コロナウイルスの社会経済的影響の前代未聞さに圧倒される気持ちもありますが、私が無暗に怯えたところで百害あって一利なしなので、用心しながら淡々と過ごすしかありません。
皆さまもどうぞお元気で!Bleibt gesund!(←このドイツ語の挨拶をこんなに聞く/読むのは初めてです。)

ニュージーランド警察のTwitterより拝借(Tweetに直リンクを貼ろうと試みて挫折…)。
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by penguinophile | 2020-04-04 06:49 | 徒然 | Comments(0)