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アナタハ神ヲ信ジマスカ?

サッカー欧州選手権、今日はドイツとトルコの試合が予定されています。ドイツにはトルコからの移民が多く、国内におけるドイツ人とトルコ人との関係は常に友好的感情に満ちているとは言い難いため、ちょっときな臭い雰囲気の対戦カードではあります。もっとも田舎町で自宅にこもっている分には、直接的な被害はないでしょうが。

閑話休題。しばらく前に図書館で『ハッピー フィート』のDVDを借り、ペンギンの群舞に改めてうっとりしちゃった私ですが、たまたま昨日、この映画に関するこちらの西森マリーさんの文章を読んで、吃驚仰天。

=====以下引用
キリスト教右派の団体が「この映画はアル・ゴア元副大統領のドキュメンタリー『不都合な真実』の子供向けバージョンで、リベラルな連中が子供たちを洗脳して、人間が環境を破壊しているという事実無根の仮説*を子供たちの心にすり込もうとしている」と文句を言ったのです。
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* 「キリスト教右派」とは、キリスト教の中でも、政治や宗教に対して特に保守的な見解を持つ勢力のこと。彼らは、地球は神(=キリスト教の神)が人間に授けたものなので、人間が地球上のあらゆるものを好き勝手に使うことこそが神の意志だと信じています。そのため、自然環境を保護しなくてはいけないと考えるのは、神の意志に逆らう反キリスト教的な背徳行為だと考えられ、特にキリスト教原理主義者(聖書のすべてが文字通り真実だと信じるキリスト教信者。キリスト教右派の中でも最も右寄りの勢力です)たちは、最後の木が倒れて地球が荒廃したら、キリストが再臨して真の信者(原理主義キリスト教徒のみです)を神の国に連れて行ってくれるので、環境破壊自体は決して悪いことではない、と信じています。
=====以上引用

ハリー・ポッターの本や映画が、「魔法は悪魔の仕業だから」という理由で原理主義キリスト教徒たちの批判を受けている事は知っていましたが、ハッピー・フィートまで批判されていたとは知りませんでした。結果的には騒ぎが宣伝となりかえって動員数が増えたところまで同じらしい(^^;。そもそも私は、環境保護が反キリスト教的な背徳行為だとみなされている事さえ知りませんでした(もしやブッシュ政権支持背景の一部?)。神様が人間に授けた脳味噌を活用して環境を守るのが背徳的な行為だとはいまいち思えない私・・・ま、所詮、キリスト様に神の国に連れて行っては頂けない異教徒なんですけどね~。

キリスト教にしろイスラム教にしろ、極めて由緒正しい宗教(?)なのに、「原理主義」と付くととたんに敬遠したくなるのは、多くの日本人「葬式仏教徒」に共通する感情ではないでしょうか。そのあたりに関連して、最近たまたま、『日本人はなぜ無宗教なのか(阿満利麿)』という本を読む機会があり、「私って典型的な日本人だなー」と妙に納得させられる点が多々ありました。例えば・・・
=====以下引用
日本人の多くが「無宗教だ」というときには、「特定の宗派の信者ではない」という意味なのであり、キリスト教徒などがいう「無神論者」ということではない。
=====以上引用
・・・はい、その通りでございます(笑)。この本は、日本人がこのような「無宗教」を標榜するようになった背景について述べており、なかなか興味深かったです。

「外国で宗教を聞かれた際、無宗教だと言うと変人扱いされるので、適当に仏教だと答えておけばよろしい」とかいう記述を見かけた事があります。変人扱いを避けるべきか否かはさておき、正月に神社へ初詣に行ってお賽銭を上げ、葬式で僧侶に念仏を唱えてもらうような生活を送りながら「無宗教」を標榜するのは、ちょっと矛盾している気がします。世界は広いので、私の「仏教徒」程度にいい加減なレベルの自称「キリスト教徒」も結構いそうな気もするし。

ドイツの市役所に転入や婚姻を届け出た際、学歴と宗教について答えなければならず、強い違和感を覚えました。正直、「そんなのお役所の知った事じゃない、私の勝手でしょ」という気持ち。宗教については、キリスト教徒は教会税が給料から天引きされる(!)そうなので、届出の必要性も一応納得できました。しかし、結婚のために英文の学位証明書を取り寄せる羽目になり、更に結婚証明書のみならず息子の出生証明書にまで名前の前に学位名が記してあるのは、未だにどうも腑に落ちないというか、はっきり言ってなんだか気持ちが悪いです。私のドイツ生活も三年目に入りましたが、こういう些細なところに、まだまだ微妙な文化的差異を感じます。
Commented by duke togo at 2008-06-26 00:04 x
私宗教というものに関して昔から分からないことがあります。どんな宗教でも殺生は戒められるものだと思っていたのですが、何で宗教戦争が絶えないのですかね。人の命より教義のほうが大切なのか?そもそもイエス様が異教徒を排除せよなんて言いますかね(よく知らんけど)。

私は平均よりは敬虔な(?)仏教徒だと思いますが、年に何度かしか菩提寺にお参りしなくても、生活の規範として仏教の教えは生きていると思っています。でも西洋で宗教というともっと厳密な意味になるのだろうか。ただ、比較的若いアメリカ人に聞いてみると、別に教会など行かないよ~って言ってる人結構いますねえ。キリスト教徒にとっても宗教の意味合いは変わりつつあるのかも。

そんでタイトルへの答え、私は「神も仏も存在は信じてやしませんが、その教えるところは大切にしたい」というところか。
Commented by Cleyera at 2008-06-26 03:01 x
ドイツ語のことはまったくわかりませんが、英語では学位があると敬称(Mr.とかSirとかDr.とか)が変わるので、そういうことではないでしょうか。身分制度のない日本人の感覚では性別を書くのと同じような感じなのでは?
テレビ版のシャーロック・ホームズもモリアーティに向かって“Mr”を強調して呼んで侮辱の気持ちを表していましたし。

宗教の方は私も「消極的仏教徒」を自負しておりますです。宗教という世より習慣ですね。
Commented by akberlin at 2008-06-26 12:09
まだ英語をやってた頃に習ったのですが、ドイツ語でもほぼ同じ言葉なので役に立った単語・・・それは「agnostic(ドイツ語はagnostisch)」と「atheist(ドイツ語はAtheist,Atheistin)」。前者は「天上に何かの存在はある気もするけど、それが神なのか、また神が存在するかどうかはわからない」と言うこと、または人、後者は「神の存在を真っ向から否定する人」、だそう。そういう点から言うと、ワタシはagnosticかなぁ。

私にはキリスト教も相方がイースターにしか教会に行かないくせに教会税を律儀に払っていたりするあたりで身近?だったわけですが、学校でトルコ人の友達がいたりしたおかげでムスリムの神も微妙に身近に。ドイツにいると宗教観とか宗教の話、することが多くないですか?

そして北枕をなんとなく避けている自分とか敷居は親の頭、と踏まないようにしているとか・・・宗教とはあんまり関係ない?でも身近なところに日本人の宗教観は残っている気も。元旦には初詣、とかもね。
Commented by nyf1403 at 2008-06-27 00:02
ドイツの「キリスト教信者」だってねー、と。続きは土曜日。

私はキリスト教の神を信じているけど、超自然も信じるし、厄年、お祓いしにゃいかんよ、とか友人に言っちゃうし、虎がじっとみつめる天井には虎にしか見えないなにかがいる、とか信じてます・・こういうのって日本だと「不信仰〜」と言われちゃうー。
Commented by どいつりす at 2008-06-27 03:34 x
わ~、驚きました~
私たちはドイツの婚姻手続きの煩雑さを避け、日本で手続きをしたのですが、本当に正解でした!
学位証明書ですか~
あまりにも学歴のない私には関係のない話だったかもしれませんが~

宗教についてはうちの夫は「どこかの寺や神社や教会に登録しているかどうか」という部分で宗教を判断しているようです。
夫は全然信仰がないのに、子供の頃に登録したので、いまだキリスト教徒で、教会税を払っているようです。
ああ、もったいない!
Commented by ちえ at 2008-06-28 06:55 x
ブッシュはキリスト教原理主義と言われています。そういう人たちがアメリカにはたくさん居るから、ブッシュは大統領になったんです。彼らはとんでもないわからんちんですが、カリフォルニアにはあまり居ないので助かっています。たまに居るとけんかっぽくなるけど。
私は日本人の宗教観を聞かれると、日本人は基本的には animism で何しろ八百万 (eight million) の神様が居るから、仏教とか神道とかキリスト教(クリスマス)とかチャンポンで受け入れられているんだと答えることにしています。というわけで私もチャンポンの生活を送っているんだというと、なんか納得しているようです。とまあ、そう説明する手もあるということで。
どうでもいいけど、Mrs. と呼びかけられて、Ms. もしくは Miss だと訂正するのはいっつもむかつきます。なんで結婚しているのがデフォルトなんだ!あれ、夫婦別姓でも結婚してたら Mrs. っていうのかな?
Commented by penguinophile at 2008-07-01 19:13
duke togoさま:
私もそのあたりはすごく疑問です。原理主義に対して抵抗を感じるのは、社会通念になっている道徳観念より教義を重視しそうだからかもしれません。そもそも「原理主義」という言葉を私が知ったのが、テロやゲリラ絡みだったせいでそういう印象を持つのかもしれませんが。

教会には滅多に行かないし、神様の存在を絶対的に信じている訳ではないけれども、幼い頃から慣れ親しんだキリスト教が生活の規範として生きている・・・という西洋人は結構いるような気がしますが、全然違う文化背景で育った私にはホントのところはよくわかんないです。
Commented by penguinophile at 2008-07-01 19:23
Cleyeraさま:
確かにドイツではDr.は名前の一部だそうで、パスポートや表札はもちろん、スーパーマーケットのポイントカードにまでDr.が入っていたりします(ちなみにMr./Mrs.にあたるHerr/Frauは入らない)。「キャベツ買うのに博士号が関係あるかよ!?」って感じで、言っちゃ悪いけどちゃんちゃらおかしいのですが、まぁいいかげん慣れてきたし、そもそも私は博士号を持っていないので、他人事です。
しかし記事に書いたのは称号とはまた違う話だと思います。というのも学士以上の取得学位を全部列挙なんですよ。出生証明書の父親欄に「工学学士 工学修士 工学博士 佐藤太郎」と書いてあるようなもん。こちらもHerrやFrauは入りません。

モリアーティって「自称」教授だったのか・・・
Commented by penguinophile at 2008-07-01 19:33
akberlinさま:
うわーなんか高尚そうな言葉だ!ドイツ語でも英語でも全然知りませんでしたよ。辞書ひいちゃいました。不可知論者・・・日本語だけどわかんない(笑)。akberlinさんの説明の方がわかるや。その定義でいくと私もagnosticですねぇ。
独欧州さんはちゃんと教会税を払っていらっしゃるんですね。毎週真面目に教会に行く人しか払ってくれなくなったら、財政的にかなりまずいんじゃないですかね?
ドイツに来てから宗教の話をつっこんでした事はありませんけど(いや「できない」のか・・・)、それでも聞かれる事は結構ありますね。まぁ日本なんて未知の国だから、日本の宗教って何?と疑問に思うんでしょうね。
日本人の宗教観、だいぶ薄れてはいるんでしょうが、それでも100年後でも初詣に行ったり厄年を嫌がったりはしそうな気がします。
Commented by penguinophile at 2008-07-01 19:36
nyf1403さま:
確かにそれは原理主義的にはダメダメかも(笑)。私も動物が見えてるモノって絶対ある気がする・・・猫ってなんだかそういう面で鋭そう。虎ちゃんはパパとママを守ってくれているのかもしれませんよ~。
Commented by penguinophile at 2008-07-01 19:52
どいつりすさま:
ドイツでの結婚、超面倒でしたよ。結婚自体も申請と挙式の二日がかりで、書類提出だけで済む日本とは大違いでしたが、それより書類を揃えるのが鬱陶しかったです。いわゆる独身証明書とかの妙な書類が必要な上、一式全て翻訳会社でドイツ語に訳してもらって、更に大使館の翻訳証明をつけて・・・何度お役所を回った事か。東京在住でまだ良かったです。正直なんだか途中で面倒臭くなってきたんですけど、もう寿退職しちゃってたし、ほとんど意地でやり遂げました(笑)。学位は証明書がなければ記載されないだけの話だと思うので、別にどうでもいいというか、履歴書じゃあるまいし名前だけの方がかえってすっきりしていいんじゃないかと私は思います(^^;;。

どいつりすさんの旦那様は消極的キリスト教徒というところでしょうか。うちの夫も子供の頃はちゃんと教会に登録したキリスト教徒で洗礼も受けていますが、大人になってから脱会(?)したらしいです。
Commented by penguinophile at 2008-07-01 20:04
ちえさま:
ブッシュ大統領を支えるキリスト教原理主義の人々は、もっと真ん中の方の州に多いようなイメージを持っていたんですけど、ホントかいな?

日本=ちゃんぽん宗教という説明、私もする事があります。真面目に説明する気力がある時だけ(^^;;。

Miss/Mrs./Ms.の使い分け、アメリカ人はそういう混乱を避けるためにもMs.を導入したんだと思っていたんですが、Mrs.がデフォルトじゃ意味ないじゃん。私は複合姓だけど、もし日本姓のみを使っていても、アパートの隣人などはきっと「Frau+夫の姓」で呼んでいた事でしょう。しかし「Herr+私の日本姓」は夫ではなく父を指すような気がする(^^;
by penguinophile | 2008-06-25 21:18 | 徒然 | Comments(12)